腸内環境3

そのような変遷の中、12年ほど前に抗加齢医学(アンチエイジング医学)の存在を知りました。老化は病気と捉えて抗老化を研究実践する医学です。それまでは、老化は病気でなく、自然と考えられていました。
老化にも生理的老化(正常老化)と病的老化(非正常老化)があり、抗加齢医学会では現在、病的老化を起こさないことで、バランスのとれた加齢が健康長寿の源と考えられています。
その抗加齢医学での腸内環境に対する考え方は少し違っていました。生きた乳酸菌を補給するのではなく(生きた乳酸菌の摂取では腸内環境が改善されにくい)、死んだ乳酸菌の大量摂取が有効であるとの新しい考え方です。
最初に聞いたときは疑問に思いました。死んだ菌を摂って、なぜ腸内環境が改善できるのか理解できなかったのです。
死菌の摂取が有効であるという理由は2つありました。この理由を理解することで、疑問は解けました。なるほどと納得できたのです。
1、死んだ菌のみが、小腸にあるパイル板という組織まで届いて刺激し、反応を起こす。それは異物排除反応で、この反応がデトックス機能や免疫などを活性化し、体を健全化させる力に発展する。
2、死んだ菌は乾燥状態で摂取することができるので、小さなカプセルで2兆個もの菌が摂取可能である。また、このくらいの数を摂取しないと、腸内環境改善の有効な刺激にならない。
この2つの条件を満たしているのが、プロバイオテクス(身体に良い作用をする微生物:腸内環境を良くする菌)として販売されているサプリメントです。
剤形は、カプセルが適していると言われています。乾燥した製品であることと、錠剤の場合は形を作るために成分の半分以上が必要になるので、有効成分が少なくなってしまうからです。
このような考え方で、まずは腸施術で「腸こり」を緩め、腸機能を改善することがファーストエイドと考えるようになりました。いくら良いものを摂取しても、腸機能が低下した状態では活用されにくいからです。
しかし、死菌による乳酸菌サプリメントの有効性も実感しています。サプリメントとして腸内環境改善を望むのであれば、死菌で1カプセル2兆個のものをセレクトすると良いと思います。
まとめて考えると、腸施術で腸の機能を正常化していくのと同時並行で、死菌の乳酸菌サプリメントと両方でアプローチすることが、最も有効であるということになります。
「首こり」に次いでこりのケアが大事なのは、「腸こり」です。いいかえると、「首こり」と「腸こり」は健康の維持増進、病気の回復に対して、諸悪の根源なのです。
首と腸、双方の凝りケアをすることは何よりも大事なことだと言えると思います。