経皮吸収と経口吸収1(総論)

外界と体内は厳格に仕切られています。仕切られているのは、
1、皮膚
2、粘膜 です。
皮膚は、外界に接する最も広い面積を持ちます。外界からの異物の侵入を防ぐためのバリア機能と、バリアを作るための働きを含む排泄機能が備わっています。
バリア機能だけですので、吸収機能はありません。吸収しない様にできているともいえます。薄い皮膚の膜だけで外界との境を作っています。
粘膜は、呼吸器と消化器、目や耳、泌尿器、性器などの粘膜が外界に接しています。目や耳、泌尿器、性器は皮膚と同じで吸収機能を持っていませんが、呼吸器と消化器の粘膜は吸収機能が備わっています。
呼吸器は空気を吸収し、それ以外は吸収しないようになっています。消化器は食物から必要な成分だけ吸収し、他は排泄します。
皮膚と目や耳、泌尿器、性器などは吸収機能が備わっていないため、異物侵入に対しては厳格に対処します。その性質から、炎症などで異物の侵入が何度も起こると、アレルギー反応を起こします。
呼吸器と消化器は異物を吸収する働きがありますから、少し寛容にできています。呼吸器は空気だけを取り入れる訳ですが、空気中には様々な異物が混在しています。それをブロックして、必要な空気成分だけを取り込みます。
呼吸器の粘膜に炎症が蔓延し、異物の侵入が重なるとアレルギー反応を起こしてしまいます。典型的な粘膜の慢性炎症が喘息です。
消化器の粘膜は、飲食物から栄養を吸収します。飲食物という、全くの異物を体内に取り込んで、必要な栄養素を吸収して不必要な物質は便として排泄します。
身体と全く異質の物質を取り込んで分解し、必要なものだけを吸収し、不必要なものは排泄するというスゴ技をいつも行っています。
身体に合わないものを取り込んだ時も、なるべくアレルギーを起こさないでおく「免疫寛容」という余裕のある働きを備えています。
口に合わないという言い回しがありますが、よほど相性の悪い食べ物ということができるかもしれませんね。
つづく